道産子なら誰でも口にしたことがある北海道限定販売のカステラ。新鮮な玉子を使用した、甘味をおさえた美味しさが人気。長崎でカステラ作りの修業を積んだ創業者が、大正6年(1917)に旭川で作り始めて以来、90年以上に渡って愛され続けている。第15回全国菓子大博覧会では総裁賞を受賞した。名前に”ビタミン”と付くのは、戦後の学校給食によく用いられたビタミンB1やB2を入れていたためだという。長く愛される理由は、栄養不足の時代にも子どもたちの健やかな発育を願った生産者の思いから作られた菓子だからかもしれない。
「ビタミンカステーラ」とは、北海道旭川市の高橋製菓が製造・販売しているカステラの商品名です。これは「北海道のソウルフード」として知られています。
1917年(大正6年)、高橋樫夫氏が長崎でカステラ作りを学んだ後、旭川で高橋製菓を創業しました。第一次世界大戦の後、食料不足により多くの子供が栄養失調になっていました。そのため、安価で栄養価の高い棒カステラが開発され、1921年(大正10年)に製造が始まりました。これが今日のビタミンカステーラの原型となりました。
1950年頃、学校給食でも使用されていたビタミンB1とB2を棒カステラに添加し、商品名が「ビタミンカステーラ」に変更されました。戦後、農家の日雇い労働者の間食として非常に人気が高まり、農繁期には1日に6万個も生産されました。1961年(昭和36年)、ビタミンカステーラは第15回全国菓子大博覧会で総裁賞を受賞しました。
ビタミンカステーラの製法は昭和30年頃に確立され、2021年現在までほとんど変わっていません。通常のカステラと同様に、主な原料として小麦粉、卵、砂糖、ハチミツが使用されますが、材料費を抑えるために卵と砂糖の量が減らされ、小麦粉が多く使われています。そのため、水分量が少なく、賞味期限が3ヶ月間あります。